塵芥ぢんかい)” の例文
仰有おつしやる通りみな後世にのこりて、後世は一々これが批判に任ぜざるからずとせば、なりたくなきは後世なるかな。後世はまさ塵芥ぢんかい掃除さうぢよの請負所の如くなるべし。
青眼白頭 (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
それから市の塵芥ぢんかい人夫になつて悪臭を頭に被つた。オイチニの薬売りになつて手風琴をならして歩いた。帰つて来るとウメ子はそれをもてあそんだ。ブウブウと鳴るのだ。
反逆の呂律 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
だい一は、國民こくみん眞劍しんけん生命せいめい財産ざいさん尊重そんてうするにいたることである。生命せいめい毫毛こうもうよりもかろんじ、財産ざいさん塵芥ぢんかいよりもけがらはしとする時代じだいにおいては、地震ぢしんなどは問題もんだいでない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
彼は撰まず、然れども彼のくだりて世に入るや、塵芥ぢんかい委積ゐせきするところを好まざるなり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
幸に慈愍じみんの御まなじりにもかゝり聊か勧賞の御言葉にもあづからむには、火をも踏み水にもり、生命を塵芥ぢんかいよりも軽く捨てむと競ひあへりしも、今かくなり玉ひては皆対岸の人異舟いしうかくとなりて
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)