古筵ふるむしろ)” の例文
これはまた余りになさけない。町内の杢若もくわかどのは、古筵ふるむしろの両端へ、ささの葉ぐるみ青竹を立てて、縄を渡したのに、幾つも蜘蛛くもの巣を引搦ひっからませて、商売あきないをはじめた。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
物皆終あれば古筵ふるむしろとびにはなりけり。久しく苦しんでいる内に文三の屈托も遂にその極度に達して、忽ち一ツの思案を形作ッた。所謂いわゆる思案とは、お勢に相談して見ようと云う思案で。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そう言われた百姓は、どうしたら親たる人を捨て置いてそこを逃げ延びたものかと考え、古筵ふるむしろなぞを母にきせて介抱していると、ちょうどそこへ来かかった二人の浪士の発見するところとなった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)