しめ)” の例文
何となく自分が肩身の狭い心持ちがする。向うから人間並外れた低い奴が来た。しめたと思ってすれ違って見ると自分より二寸ばかり高い。
倫敦消息 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
踏外ふみはづよろめく所を雲助共夫れ/\しめたぞ今一いきたゝき殺して剥取はぎとれと折重なつて打倒すに半四郎も最早もはやかなはずと一生懸命の聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのとき、傍にゐました、樵夫の子供は『しめた』と、切り口にさしいれてあつた楔を手早く抜きましたので、野牛は切口に舌をはさまれてしまつたのです。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
さあ御出おいでと取る手、振り払わば今川流、握りしめなば西洋流か、お辰はどちらにもあらざりし無学の所、無類珍重ちんちょう嬉しかりしと珠運後に語りけるが、それも其時そのときうそなりしなるべし。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
よだれを垂々たらたらと垂らしながら、しめた! とばかり、やにわに対手あいて玉将たいしょう引掴ひッつかむと、大きな口をへの字形じなりに結んで見ていたあかがおで、脊高せいたかの、胸の大きい禅門ぜんもんが、鉄梃かなてこのような親指で
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうして毎級第一番の上席を三ヶ月しめて居れば登級とうきゅうすると云う規則で、会読以外の書なれば、先進生が後進生に講釈もして聞かせ不審もきい至極しごく深切にして兄弟のようにあるけれども
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しめしは江戸四宿の内只此品川のみ然れば遊客いうきやくしたがつて多く彼の吉原にもをさ/\おとらず殊更ことさら此地は海にのぞみてあかつきの他所ほかよりも早けれど客人まろうど後朝きぬ/″\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
というから、愛吉が、(しめたな! 占たな!)
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まうけたり引れて此處このところ着座ちやくざすれば左右には常樂院天忠てんちう山内赤川藤井等の面々威儀ゐぎたゞして座をしめたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)