割前わりまへ)” の例文
「ルンプが急に独逸ドイツへ帰つたよ。君によろしくと云つて、其れから写真代の取替とりかへとか割前わりまへとかを君に渡してれつて預けて行つたよ。」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
慇懃いんぎんで、なかがい。これから秋冷しうれい相催あひもよほすと、次第しだいに、燒芋やきいもひツこ、煙草たばこ割前わりまへにらつて喧嘩けんくわをするのだが、——一篇いつぺんにはあづかはう至當したうらしい。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
飛鳥もあとを濁ごすなに候へば、大藤の大盡が息子と聞きしに野澤のざは桂次けいじは了簡の清くない奴、何處やらの割前わりまへを人に背負せて逃げをつたなどゝ斯ふいふ噂があと/\に殘らぬやう
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さゝくたらしを、ほう/\といてうまがつて、燒豆府やきどうふばかりを手元てもと取込とりこみ、割前わりまへときは、なべなか領分りやうぶんを、片隅かたすみへ、群雄割據ぐんゆうかつきよ地圖ちづごとしきつて、眞中まんなかうめざうもつを
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
飛鳥とぶとりもあとをごすなに候へば、大藤おほふぢ大盡だいじん息子むすこきしに野澤のざわ桂次けいじ了簡りようけんきよくないやつ何處どこやらの割前わりまへひと背負せよはせてげをつたなど〻斯ふいふうわさがあと/\にのこらぬやう
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
第一だいいち二人ふたりとも割前わりまへあやしいんです。」とそのときいふと、お姉上あねうへわかかつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)