判明わか)” の例文
そうしてそれが判明わかると同時に私達兄弟は、ちょうどボート・レースの日が迫って来るような不安と圧迫感に襲われ初めたのです。
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「これを御覧、とても読む勇気がないね。ただでさえ判明わからないところへ持って来て、むやみに朱を入れたり棒を引いたりしてあるんだから」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それは、たとえ隣によその人がいても、ちょっとの隙に礼拝するように板敷の上へ額をこすりつけている間に行われるので、たいがいの人には判明わからなかった。
性に眼覚める頃 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
何里位か判明わからないが、山が低くなって地がやや開けて来たと思うとその山の下に火影が一つ見えた。懐しき火影、この時位人家を懐しく感じた事はない。疲れた足をひいて走った。
木曽御嶽の両面 (新字新仮名) / 吉江喬松(著)
「然しその拳銃がどうして殺された男の所有品である事が判明わかったでしょう」
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
水雷艇や巡邏船が百艘や二百艘かかったってビクともしない相手である事が、一二年経つうちに、だんだんと判明わかって来たもんだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その比田が島田に会いに行って話を付けたとも、または手紙で会見の始末を知らせてったとも、健三には判明わからなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「小母さんの後を尾行ければ、きっと手紙の差出人が判明わかると思います」
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
第一、あのがだね。姫草ユリ子が、何の必要があってソンナ骨の折れる虚構うそ巧謀たくらむのか、その理由が判明わからんじゃないか。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「まるで判明わからないね。相談でもなかろうし。こっちから相談を持ち懸けた事なんかまるでないんだから」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
白い窓掛けの理由がやっと判明わかった。女は百燭の電光と、白麻の窓掛けの強烈な反射で、相手の眼をくらまそうとしているのだ。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
鎌倉の材木座の住所を探してみたら、そんな人間は最初から居なかった事が判明わかったので、困っている……との事でした。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いつとなく雄弁になって来る女の鋭い理詰めと、その理詰めを通じて判明わかって来る女の頭のよさに呆れ返っているらしい。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのような人間を一人も室内に近づけていないところを見ますると、何故なにゆえ判明わかりませぬが若林博士は、今夜に限ってタッタ一人で、或る重大な
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それから断髪令嬢がシャクリ上げシャクリ上げ話すところを聞いているうちに、やっと事情わけ判明わかって来た。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
犯行の現場げんじょうは直ぐに判明わかった。裏口から這入ると、田舎一流の一間幅ぐらいの土間が表の通りへ抜け通っている。その右側は土壁で、左側に部屋が並んでいる。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
無念無念と云うて息を引取りましたそうで、その亡骸なきがらの紋所から友川様の御次男という事が判明わかりました。
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……それは……この令嬢が、眼をさましておられる間にも、そんな事を云ったり、たりしておられるから判明わかるのです。……この髪の奇妙ない方を御覧なさい。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
盗賊かせぎには持って来いの処だったのですが、しかし、何よりもタッタ一つ、一番恐ろしい番犬がこの柳仙の家をガッチリと護衛まもっている事が、最初から判明わかっているのでした。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかも女というものは、思い違いでも何でも構わない、一度そんな風に思い込んでしまうと、アトでいくら間違っていることが判明わかっても決して素直に承認する動物でない。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
よく調べもせずに炭坑王後継者として承認したか……という理由がハッキリ判明わかったのですが……斯様かよう申しましたら先生は、もうアラカタ事情をお察しになっているでしょう。
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その留学生が持っている「茶精」を取上げて分析してみたら直ぐに判明わかるでしょう。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
のみならずそこには想像以上の悩ましい地獄と、想像以下の浅ましい生活が待っている事が判明わかったので、一知は実に失恋した以上に深刻な打撃にタタキ付けられてしまったのであった。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こうしていれば誰にも判明わかる気遣いは無いと、安心し切っていたものであった。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「……証拠ですか。ほかの被害者の一人を呼べば、すぐに判明わかる事です」
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私はかむりかけていた帽子を慌てて脱いだ。冷めたい唾液つばをグッとみ込んで振り返ったが、その時に若林博士が、先刻から私を、色々な不思議な方法でイジクリまわしている理由がやっと判明わかった。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
日露戦争以後に吾輩がドンナ科学的の発明を日本の軍部に提供して、ドンナ新鋭の武器を内々で取揃えさしているか判明わからないから……成る程のう……それは事実だ。毛唐けとうの奴等もよく知っとるのう。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)