出処でどこ)” の例文
旧字:出處
「こう、はばかりだが、そんな曰附いわくつきの代物は一ツも置いちゃあねえ、出処でどこたしかなものばッかりだ。」とくだんののみさしを行火あんかの火入へぽんとはたいた。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『事実? 到底たうてい其様なことは有得べからざる事実だ。』と銀之助は聞入れなかつた。『何故と言つて見給へ。学校の職員は大抵出処でどこきまつて居る。 ...
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
幹事雑貨店主のえた声が、キヤキヤと刻込きざみこんで、響いて聞えて、声を聞く内だけ、その鼻のたかい、せて面長おもながなのが薄らあおく、頬のげっそりと影の黒いのが、ぶよぶよとした出処でどこの定かならぬ
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)