かた)” の例文
九月一日の地震のあと、近所隣りと一つにかたまって門外で避難していると、大杉はルイゼを抱いて魔子を伴れてやって来た。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
第百四十八 スポンジゼリーの一 これは前のような牛乳のゼリーを冷まして半ばかたまった処へ玉子の白身を泡立ててよく混ぜて今度は本式に固めます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
わづか十年しか此世の風にさらされてゐない咲子は、或る意味で既に一つの完成品にかたまりかけてゐるやうに思へたが、年と共に其のなかにあるものが成長して行くことを考へると
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「血のかたまった様子では夜中前のようですが」
道学のかたまり仁義忠孝の化物ばけもののような馬琴すらも『仇討義理与犢鼻褌かたきうちぎりとふんどし』というような、外題げだいを見ても内容が察しられる意外の遊戯的な作を何篇も作っておる。
それも生脂の使い頃がありまして牛を殺してから冬は一日二日ののち夏は三、四日の後がいいのです。新らしいものは脂がかたまりませんから使えません。一日二日置くと凝まります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
き声を立てて、無数の海猫うみねこが浪のうえにかたまっていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「血はかたまつて居たかい」
脂肪量の多い牛乳はびんへ入れたまま三時間も置くとクリームが口の処へかたまって壜をさかさにしても牛乳が流れ出ません。そういう牛乳からですと一升に一合二しゃく位のクリームが取れます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「血はかたまっていたかい」