充血じゅうけつ)” の例文
その、「学校はよくできる」という調子に全く平たい説明だけの意味しかひびくものがないのを聞いて復一は恥辱ちじょくで顔を充血じゅうけつさした。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それでわたしがとこの中にはいって、トマトのような赤い顔をしていると、医者はわたしの額が手を当てて、すぐ「充血じゅうけつだ」と言った。
つまり、障害をうけたとき、患部附近に、充血じゅうけつとか腫脹しゅちょうが起って、神経細胞さいぼうに生理的なゆがみが残っていることがある。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
堀口生は頭がこぶだらけでひたいがはれあがっている。尾沢生は鼻がふくれている。正三君は口がとがっている。高谷君は左の目が充血じゅうけつしてまわりが黒ずんでいる。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
不思議には思いながらも、しばらくたってから、ようやく顔を上げてみると、渡瀬さんは充血じゅうけつして、多少ぼんやりしたような顔つきで、おぬいの額ぎわをじっと見つめていたのだと知れた。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ダリアは黒眼鏡をはずして見たが、左眼さがんはまるででたように白くなり、そうでないところは真赤に充血していた。右の眼はやや充血じゅうけつしている位でまず無事な方であった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
房枝は、徹夜の看護に充血じゅうけつした目を、まぶしそうにしばたたきながらいった。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)