住馴すみな)” の例文
日出雄ひでをや、あのむかふにえるたかやまおぼえておいでかえ。』と住馴すみなれし子ープルス市街まち東南とうなんそびゆるやまゆびざすと、日出雄少年ひでをせうねん
それとは無しに探りを入れたが、相手は更に張合はりあいのない調子で、「別に何とも思いません、うして数年すねん住馴すみなれて居りますと、別に寂しい事も怖い事もありません」
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いつか向島にも五、六年住馴すみなれて、今さら変った土地、それも宿場跡などへ行くのは誰も彼も気が進まず、たとえ辺鄙へんぴでも不自由でも、向島に名残なごりが惜しまれるのでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
しかし住馴すみなれた親子三人の燈台守は、何の恐れる景色もなく、安らかに住んでいた。
おさなき灯台守 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
泉原いずみはらは砂ほこりまみれた重い靴を引きずりながら、長いC橋を渡って住馴すみなれた下宿へ歩を運んでいた。テームス川の堤防に沿って一区かくをなしている忘れられたようなデンビ町に彼の下宿がある。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
半月はんつき一月ひとつき三月みつき、ものの半年はんとし住馴すみなれたのはほとんどあるまい……ところけるでもなく、唯吉たゞきち二階にかいから見知越みしりごしな、時々とき/″\いへあるじも、たれ何時いつのだか目紛めまぎらしいほど、ごつちやにつて
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)