ふし)” の例文
掛内に這入はひりふしみ居し折柄をりから燒場の外面おもての方に大喧嘩おほげんくわが始りし樣子故何事かと存じそつと出てうかゞひしにくらき夜なれば一かうわからず暫時しばらく樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
左の手にはわき雷居り、右の手にはつち雷居り、左の足にはなる雷居り、右の足にはふし雷居り、并はせて八くさの雷神成り居りき。
令閨れいけいとおよび五三人はその中心になりて、十重二十重とえはたえに巻きこまれ、のがるるひまなくふしまろび候ひし。
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三谷を初め、乳母のお波、女中などが電話の前に泣きふした倭文子を、なぐさめている所へ、やがて、所管の麹町こうじまち警察から、司法主任の警部補が、一名の私服を伴って、訪ねて来た。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
何か見めてでもゐると、黒瞳くろめ凝如じつすわツてとろけて了ひそうになツてゐる………うかと思ふと、ふし目に物など見詰めてゐて、ふとあたまを擡げた時などに、ひど狼狽うろたえたやうな
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ふしねがはくは公明正大の道理にもとづき、一大英断を以て天下と更始一新せん。
船中八策 (新字旧仮名) / 坂本竜馬(著)
あふぎ地にふしかなしみ歎き我が身程世に因果いんぐわなる者はなし主人の養子が引負ひきおひを身に引受てかくはぢも若旦那樣を眞人間まにんげんにして上たさにいとはゞこそなほ御異見を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
毒薬を奪われた娘は、最後の力尽きて、くずれる様に倒れふし、物狂わしく泣きった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
取出し伏拜ふしをがみけるに金毘羅のこんの一字は切放れて血汐ちしほしたゝり有ければ親子の者は一同にハツとひれふし有難ありがたし/\とて感涙かんるゐを流しけるが其中に罪人の本人が出て源内は長壽を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
幸い御両親とは離れた部屋にふししていましたのと、夫の門野は、あの人自身のことで夢中になっていましたのとで、その半月ばかりの間を、怪しまれもせず過ごすことが出来たのでございます。
人でなしの恋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)