シロ)” の例文
シロの幣束なる幣が、神の依りタヽニハシルシとなり、次いでは、人或は神自身が、神占有の物と定めたシメともなり、又更に、神の象徴とさへ考へられる様になつたのである。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
その領土は、古い書物には「河内および摂津において十八万六千八百九十シロ」と書きあらわしてあるが、その代(シロ)というのは、どれほどの広さの土地であるのか、私には分からない。
併し、五月幟の類は、一つは田植ゑに来訪する神を迎へるシロなる青山(標の山の類)の変化でもあり、又神人たるべき若者の、神意によつて、指された住む家の目あてになるものらしい。
松ばやしの如きも、春の門松——元は歳神迎へのシロの木であつた——を伐り放して来る行事でした。はやしは、伐ると言ふ語に縁起を祝ふので、やはり、山人の山づと贈りに近い行事です。
翁の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
それなら、何故榊を立てるかゞ問題になるのですが、かうした信仰は、時代によつて幾らも変つてをりますから、一概に言ふ事は出来ませんが、正月の神を迎へるシロであつたかとも見られます。
門松のはなし (新字旧仮名) / 折口信夫(著)