介意かま)” の例文
「まあ、青木君の問題は、別として、僕も、近々箱根へ行かうと思つてゐるのですが、彼方あちらでお訪ねしても、介意かまひませんか。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「少しくらい体をいためたって、介意かまうもんですか。私たちは何かかわったことをしなければ、とても女で売出せやしませんよ」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ロミオ 馬鹿ばかな、なんの、そんなことを! おれには介意かまはいで吩咐いひつくることをせい。御坊ごばうからの書状しょじゃうかったか?
由吉が片手で「こらこら」と云って止めるのも介意かまわず、塩野は矢代に枕木の説明をそんなにして聞かせた。
旅愁 (新字新仮名) / 横光利一(著)
他の列車ならどれにお乗りになろうと介意かまいませんがね、あの十時五十分の急行だけはお止めなさい
あはよくば、それは奇蹟的にでも闇に咲く女の中にさうした者を探し當てようとあちこちの魔窟を毎夜のやうにほつつき歩いたこともあつた、縱令よし乞丐こじきの子であつても介意かまふまい。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
歯の曲った、女中の台所穿ばきを、雪の素足に突掛つっかけたが、靴足袋を脱いだままの裾短すそみじかなのをちっとも介意かまわず、水口から木戸を出て、日の光を浴びたさまは、踊舞台の潮汲しおくみに似て非なりで
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「まあ、青木君の問題は、別として、僕も、近々箱根へ行こうと思っているのですが、彼方あちらでお訪ねしても、介意かまいませんか。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「何だって介意かまいません。あんたが何処かで見たものとか聞いた事とか……見た夢でもあれば尚面白い」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
カピ長 さゝゝゝゝ、はたらけ/\! 二番鷄ばんどりいたぞ、深夜鐘カアヒウったわ、もう三ぢゃ。こりゃアンヂェリカ、燒饅頭やきまんぢうはよいかの? 費用つひえ介意かまふな、費用つひえは。
そのうち、もちの殻が各席に配られると、客らはそれを手ん手につかみあたり介意かまわず投げつけ合った。
罌粟の中 (新字新仮名) / 横光利一(著)
青年は、美奈子が聴いてゐることなどは、もう介意かまつてゐられないやうに、熱狂して来た。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
僕は君さえ介意かまわないならいくらだって骨折るけれども、どっちも何も云わないのだから、押してみようがない。一人でああかな、こうかなと思ってみているだけで、一番馬鹿を
旅愁 (新字新仮名) / 横光利一(著)
芸人を買おうと情人おとここしらえようとお前の腕ですることなら、ちっとも介意かまやしないなんて、そこは自分にも覚えがあるもんだから、お察しがいいと見えて、よくそう言いましたよ。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
マーキュ ためまなこぢゃ、るがえいわ。ひと如何どうおもはうと介意かまふものかえ。
青年は、美奈子が聴いていることなどは、もう介意かまっていられないように、熱狂して来た。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
酔えるものなら何んであろうと介意かまってはいられぬときかもしれない。
「さうね、御内所の方は幾日ゐたつて介意かまやしませんわ。私貴方のお手紙で、海へでも遊びにいかうと思つて、来たんですけれど……それには色々話したいこともあるにはあるんですの。でも私こゝにゐても可いの。」
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
時期などは、何時でもいゝ、五年後でも、十年後でも、介意かまはないのです、たゞ、し貴女が結婚しようと決心なさつたときに、夫として僕を選んで下さるか何うかをお訊ねしてゐるのです。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
若い車夫は前掛けの毛布を肩にかけたまま、極まり悪げに彼から顔を背けて待っていたが、矢代は介意かまわずなおいろいろ山の話をつづけたくなり、そのまま去って行く気持ちもなくなるのを感じた。
旅愁 (新字新仮名) / 横光利一(著)
時期などは、何時でもいゝ、五年後でも、十年後でも、介意かまわないのです、たゞ、し貴女が結婚しようと決心なさったときに、夫として僕を選んで下さるか何うかをおたずねしているのです。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
もう妻なんかに介意かまってはおれぬ。今しばらくは斬り捨てだ。
の新聞が義憤の叫びか、同情の声を挙げるだろうと、其の日の朝刊新聞を見ましたが、もう何等の実権も無くなって居た廃帝の身の上などには、何んな事件が起ろうと、介意かまわないかのように
たちあな姫 (新字新仮名) / 菊池寛(著)