九十九つくも)” の例文
この大きな盆景を隔ててまゆ山の秀麗な峻峰しゅんぽうと相対し、眉山の裾をひく不知火しらぬいの海には九十九つくも島が絵のように浮んでいる。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
かつそれ烟管キセル・喜世留、硝子ガラス・玻璃、莫大小メリヤス・目利安、不二山ふじさん・冨士山のたぐい一物いちぶつ字をことにし、長谷はせ愛宕あたご飛鳥あすか日下くさか不入斗いりおまず九十九つくものごとく、別に字書を作るにあらざれば知るべからず。
平仮名の説 (新字新仮名) / 清水卯三郎(著)
九十九つくもおきなうつし世の
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
またここへ来て、はじめて島原の九十九つくも島を望見しることにおいて、風景の上に特色を持つ。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
旅館ではなくて、別荘のような気持のするこのろうの二階から、有明海を隔てて、肥前の多良岳や、肥後の山々を望み、九十九つくも島に対する明麗めいれいな風光は、旅情を慰むるに十分である。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)