乙卯きのとう)” の例文
「安政二年乙卯きのとう仲春、為岡本楼主人之嘱おかもとろうしゅじんのしょくのため、一勇斎国芳写」と銘を打ったひとの額面。それを巽の柱の下に群がった一かたまりが熱心にうちながめて
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
乙卯きのとうの年の三月十三日にお隱れになりました。御陵は河内の古市の高屋の村にあります。
あの利根川圖志とねがはづしなかに、……えゝと——安政二年あんせいにねん乙卯きのとう十月じふぐわつ江戸えどには地震ぢしんさわぎありてこゝろしづかならず、訪來とひくひとまれなれば、なか/\にいとまある心地こゝちして云々しか/″\と……本所ほんじよくづれたるいへうしろ
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
安政あんせい二歳次乙卯きのとう夏日」と云う日附けがある。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)