“乙鳥”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つばくら40.0%
つばめ30.0%
いっちょう10.0%
つばくらめ10.0%
つばくろ10.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
古い京をいやが上にびよと降る糠雨ぬかあめが、赤い腹を空に見せていと行く乙鳥つばくらこたえるほど繁くなったとき、下京しもきょう上京かみきょうもしめやかにれて、三十六峰さんじゅうろっぽうみどりの底に、音は友禅ゆうぜんべにを溶いて
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と思うと、浪人の、黒奉書の片袖が、乙鳥つばめの羽のようにひるがえって、真っ白いかいなに電撃の速度がついた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ一筋の出処しゅっしょの裏には十重二十重とえはたえ因縁いんねんからんでいるかも知れぬ。鴻雁こうがんの北に去りて乙鳥いっちょうの南にきたるさえ、鳥の身になっては相当の弁解があるはずじゃ。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おんこそつばさうるめる乙鳥つばくらめ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
舟はようやく町らしいなかへ這入はいる。腰障子に御肴おんさかなと書いた居酒屋が見える。古風こふう縄暖簾なわのれんが見える。材木の置場が見える。人力車の音さえ時々聞える。乙鳥つばくろがちちと腹を返して飛ぶ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)