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こうめ
眞つ直ぐに兩國へかゝると、橋の
袂で何處かの小僧さんが待つて居て、『増屋の主人が
小梅の
寮に居るから、
其方へ持つて行くやうに』といふ
傳言です
世の
中廣うなれば
次第に
御器量まし
給ふ、
今宵小梅が三
味に
合せて
勸進帳の一くさり、
悋氣では
無けれど
彼れほどの
御修業つみしも
知らで、
何時も
昔しの
貴郎とおもひ
おれァ、一
度、
半蔵松葉の
粧おいという
花魁を、
小梅の
寮まで
乗せたことがあったっけが、
入山形に一つ
星の、
全盛の
太夫を
乗せた
時だって、こんないい
気持はしなかったぜ