丸橋忠弥召捕の時、麻布二本榎あざぶにほんえのきの寺前の貸家に、三百三十樽の毒薬が隠してあった。これは由井正雪が島原で調合を教わったという南蛮秘法の大毒薬で、一と樽が何万人の命を