十代雅楽頭忠恭うたのかみただやすは、四年前の延享二年、譜代の小大名どもが、夢にまであくがれる老中の列にすすみ、御用部屋入りとなって幕閣ばっかくに立ち、五十万石百万石の大諸侯を
無惨やな (新字新仮名) / 久生十蘭(著)