その年十月、改易された蒲生氏の後へ隠岐守松平定行おきのかみまつだいらさだゆきが封ぜられて来た。これは世に久松家とも呼ばれる徳川親藩の一で、定行の父はじゅ四位少将定勝といい、家康の異父弟に当っていた。
日本婦道記:二十三年 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)