被殲滅者ひせんめつしゃ)” の例文
当然、それらは敵の重囲に陥ちて、ふたたび帰ることない被殲滅者ひせんめつしゃとは察しられながら、貝の音は、子をさがす母のように、いつまでも、あきらめきれぬその呼び貝を、夜の野に、吹いていた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)