越後国蒲原郡新発田かんばらごおりしばたの城主、溝口伯耆守ほうきのかみの家来、鈴木忠次郎、忠三郎の兄弟は、敵討の旅に出てから、八年ぶりに、親の敵和田直之進が、京師室町四条上るに、児医師こどもいしの看板を掲げて
仇討三態 (新字新仮名) / 菊池寛(著)