これは光春の命によって、小姓の奥田清三郎と船木八之丞ふなきはちのじょうのふたりがみずから放った火であった。その火焔が橋廊下のある中庭を隔てて此方の広間の障子へ赤く映った。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)