執事の自分ですら知ってないような機密まで彼の口からはまま聞かされる。かたがた、何かのばあいのためにも自家薬籠中じかやくろうちゅうの物にしておかねばならぬ人間と、思うのだった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)