それは一帖の屏風の片隅へ、小さく十王を始め眷屬たちの姿を描いて、あとは一面に紅蓮大紅蓮ぐれんだいぐれんの猛火が、劍山刀樹も爛れるかと思ふ程渦を卷いて居りました。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)