按ずるに改暦後、月を変へて日を変へずに五月二十三日とし、所謂迨夜たいやに客を招いたのであらう。当時の主人は陶後の子にして幸作の父なる竹陶兵助ちくたうひやうすけ五十四歳である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)