お園は早速四辺あたりを見廻して、一人の師匠を指さした。その人はにこにこして「鈴が森」を弾いてくれたが、それは誰あろう当時の名人竹本住太夫たけもとすみたゆうであった。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)