爺いさんは親切な、物分りの好い人で、子供の話を眞面目に聞いて、月番の西奉行所のある所を、丁寧に教へてくれた。當時の町奉行は、東が稻垣淡路守種信いながきあはぢのかみたねのぶで、西が佐佐又四郎成意なりむねである。
最後の一句 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)