彼らの見物して来た所は紀三井寺きみいでらであった。玉津島明神たまつしまみょうじんの前を通りへ出て、そこから電車に乗るとすぐ寺の前へ出るのだと母は兄に説明していた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)