火の樣な自我と燃えてゐる刹那は、渠の所謂獨存強者どくぞんきやうしやである。その状態で考へると、この熱心の爲めに、自分の妻子も燒かれたのである。自分の崇拜者も燒かれたのである。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)