屋敷の取払われた後、社殿とその周囲の森とが浅草光月町あさくさこうげつちょうに残っていたが、わたくしが初めて尋ねて見た頃には、その社殿さえわずかにかたばかりの小祠になっていた。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)