治郎右衛門忠明じろうえもんただあきは、まだ壮健だった。五十四、五歳であろう。髪は黒く、見たところはなお四十代にしか見えない。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)