家士は上に、小者たちは縁下に、人数が揃うと図書から順に別盃さかずきが廻された。さかなには十八歳になる槁田藤三郎こうだとうさぶろうが起って平家を朗詠しながら舞った。
三十二刻 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)