彼女の病気と邪推のさせるすすり泣きの声が、ようやく外にまで洩れて来た頃、彼方の錠口じょうぐちの端に、榊原平七さかきばらへいしちの姿が見えて、そこから告げた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)