少し、襟垢がついていて、旅疲れを思わせる着物であるが、平島羽二重ひらしまはぶたえの濃紫紺、黒縮緬ちりめんの羽織に、絹の脚絆きゃはんをつけていた。
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)