そこには西洋人たちが「巨人の椅子ジャイアンツ・チェア」と呼んでいる丘へ通ずる一本の小径こみちがあり、その小径をいまの少女が歩いて行きつつあった。思ったよりも遠くへ行っていなかった。
ルウベンスの偽画 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)