潮音の旧い社友で、土地の歌壇で元老株のお医者さんの山下秀之助やましたひでのすけ君が一場いちじょうの歓迎の辞を述べて、これが済むと、また皆が私の方を向く。講演は嫌いだから初めからお断りしてある。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)