私は、何のことはない、ちょうど、毛剃九右衛門けぞりくえもんの前に引き出された小町屋宗七こまちやそうしちといったような恰好かっこうで、その婆さんの前に手を突いて
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)