白河楽翁しらかわらくおうの『女教訓書おんなきょうくんしょ』を見ると、まだあの頃までは小鍋好みは悪徳であった。留守ごとと称して主人の不在中に、珍しい食物をこしらえることは不貞であった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)