彼女の父は太田垣伝右衛門光古おおたがきでんえもんてるひさと名乗る知恩院ちおんいんの寺侍で、一人むすめの彼女——名はせい——に、彦根ひこねの近藤某を婿にとって男女四児あったがみな早世してやがて婿も死んだ。
蓮月焼 (新字新仮名) / 服部之総(著)