宿の夜明け方に時鳥ほととぎすを聞いた。紛れもないほととぎすである。郷里高知の大高坂城おおたかさかじょうの空を鳴いて通るあのほととぎすに相違ない。
浅間山麓より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)