おなじ山科に隱れても、大石内藏之助おほいしくらのすけは見事にかたき討の本意ほいを遂げたが、近松半二は駄目だ、駄目だ、いくら燥つても藻掻いても歌舞伎に對してかたき討は出來ない。(又咳き入る)
近松半二の死 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)