新字:円盤投手
グラウンドに出てゐるときの彼は、その頃私たちの間に流行してゐた希臘彫刻の獨逸製の繪はがきの一つの、「圓盤投手デイスカスヴエルフエル」と云ふのに少し似てゐた。そしてそれが下級生たちに彼を偶像化させてゐた。
燃ゆる頬 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)