それは四五日前までは、毎日のように彼のところへ来ては、老人へのよき執成とりなしを、蒼蠅うるさいほど頼んでいた千石虎之進せんごくとらのしんという、死んだ老人の末弟に当る男であった。
仲々死なぬ彼奴 (新字新仮名) / 海野十三(著)