「街の斧博士」「時の敗者」等を発表した十一谷義三郎じゅういちやぎさぶろうもまた、その質実な、根気のよい、手堅い作風において、滔々とうとうたる即興的小説の型を破った作家である。
昭和四年の文壇の概観 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)