あの黄一峯は公孫大嬢こうそんたいじょう剣器けんきのようなものでしたよ。筆墨はあっても、筆墨は見えない。ただ何とも言えない神気しんきが、ただちに心に迫って来るのです。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)