菊枝の父は上杉家の三十人がしら仲沢庄太夫なかざわしょうだゆうといい、すでに隠居して長男門十郎に跡目をゆずっていた。菊枝は登野村とのむら三郎兵衛から蜂屋をとおして望まれた縁であった。
日本婦道記:不断草 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)