服部嵐雪はっとりらんせつは、その時分井上相模守いのうえさがみのかみに仕えていたから、其角の貧乏を心配して、絶えず金や衣服を調達してやるのだが、性来酒好きな上に恬淡てんたんな其角は、たちまち何もかも酒に代えてしまうのだった。
其角と山賊と殿様 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)