別してその御堂供養みどうくようの当日は、上達部殿上人かんだちめてんじょうびとは申すまでもなく、女房たちの参ったのも数限りないほどでございましたから、東西の廊に寄せてあるさまざまの車と申し、その廊廊の桟敷さじきをめぐった
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)