まえはわずかに人のかようばかりにせまい。そこに着物などほしかけて女がひとり洗濯をやっていた。これが予のいまおる宿である。そして予はいま上代的紅顔じょうだいてきこうがんの美女に中食をすすめられつついる。
河口湖 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)