行軍二こうぐんに
あの山を越えるとき おれたちは機関車のように蒸気ばんでおった だまりこんでがつんがつんとあるいておった 急に風がきて白い雪のかたまりをなげてよこした 水筒の水は口の中をガラスのように刺した あの山を越えるとき おれたちは焼ける樟樹であった …